秩父人に聞く

秩父かいこ家 田代邦士さん・新井文子さん

 

買継商通りとは、番場町にある小路で、かつては秩父銘仙の工場の出張所が設けられていたという。現在も、当時の面影を残す古い建物が残っており、今でも住居として使用されているほか、雑貨屋等の店舗としても活用されており、秩父らしい趣のある町並みとなっている。
その一角に一際目を引く鮮やかな絹糸を二階の軒下に下げた家がある。一階の縁側から続く和室を開放し、艶やかな秩父銘仙を所狭しと並べているのは、田代邦士(くにお)さんと新井文子さんが営む「かいこ家」である。
着物が大好きという新井さんが長年かかって集めた秩父銘仙を道行く人に気軽に見て欲しいと7年前より展示し始めたという。
かつて秩父の代表的な産業であった織物産業は、今はすっかり衰退してしまい、地元の人でも銘仙を知っている人は少なくなった。
かいこ家は、着物や生地を販売しているわけではない。また、博物館のように入場料を取っているわけでもない。訪れた人は自由に着物を手にとって見ることができるし、羽織などは実際に着てみて写真を撮ったりすることもできる。そして秩父銘仙の歴史なども教えてくれるという。戦時中は、出征兵士を送る旗や千人針の生地にもなったという知られざる歴史を裏付けるかのように、日の丸と零戦を織った生地も展示している。
秩父銘仙は、大胆な花柄等の柄が独特で、今着ても古さを感じさせないモダンさが魅力だと、田代さんは語ってくれた。先染めだから柄に裏表がないのも特徴だという。
観光で秩父を訪れる人にはもちろん、地元の人達にも気軽に立ち寄って話をしていって欲しい場所である。

新井さん。艶やかな色と大胆な柄の銘仙がよく似合っている。

秩父銘仙の歴史を秩父の人に知って欲しいという田代さん。

戦時中に織られた銘仙。

カラフルな絹糸が目印。